特許権侵害差止等請求控訴事件

事件の基本情報

裁判所知的財産高等裁判所
事件番号令和5(ネ)10047
判決日2023-10-03
分類知的財産 / 特許
判決種別判決
判決文が挙げた条文特許法100条1項

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点及び争点に関する当事者の主張
1 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、後記2のとおり当審にお
ける控訴人の補充的主張を付加するほかは、原判決「事実及び理由」第2の1
(2頁~)、2(4頁~)及び第3(5頁~)に記載のとおりであるから、こ
れを引用する。
2 当審における控訴人の補充的主張(争点2-1関係)
以下のとおり、乙6発明及び周知技術に基づいて本件発明の進歩性を否定し
た原審の判断は誤りである。
(1) 乙6発明に授乳室の移動を容易にするという動機付けが内在しているとは
いえないこと
授乳室は最適の場所に設置されるものであり、一定期間のみの設置が予
定されたものやあらかじめ移動を想定して設置されたものでない限り、通常
は移動が考えられない。乙6発明の授乳室は、中標津町役場において最適な
場所に置かれ、一定期間のみの設置が予定されたものやあらかじめ移動を想
定して設置されたものでないことが明らかである。
(2) 技術分野が異なること
乙6発明の属する「プライバシーに配慮した筐体内部に保育空間を形成
する」技術分野においては、筐体にキャスターを付けることが周知技術であ
るとはいえない。乙5公報、乙13公報、乙14文献、乙15文献、乙16
公報及び乙17公報(以下「本件各引用文献」という。)に記載された技術
事項は、いずれも「プライバシーに配慮した筐体内部に保育空間を形成する」
ものではなく、技術分野が異なる。「利用者と機器等を収容する筐体」の技
術分野であればよいとする原判決は、技術内容を過度に上位概念化、抽象化
するもので、誤りである。
(3) 阻害要因
乙6発明には、授乳室を当初設置した場所から移動することによる利用
者の利便性の低下、スペースが十分に確保されていない場所への移動による
人の動線の悪化、人目の届かない場所等への設置による利用者の安全性の低
下又は巡回のための町役場職員の業務増加等、移動による支障が非常に大き
いという阻害要因がある。
(4) 予測できない顕著な効果
本件発明は、簡易迅速な授乳室の移動を可能かつ容易にし、授乳用空間
の増設やレイアウト変更を実現するだけでなく、利用者による授乳室の設置
場所近辺の施設への回遊の促進をも実現するものであり、利用者への授乳用
空間の提供以上の価値を提供していることから、予測できない顕著な効果を
有するため、進歩性がある。

主文(判決文より)

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。