事件の基本情報
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和5(ワ)70258 |
| 判決日 | 2023-12-14 |
| 分類 | 民事 / 著作 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | プロバイダ責任制限法2条3号、著作権法23条 |
| 当事者 | 原告 有限会社オフィスサイレンス/被告 株式会社NTTドコモ |
この事件の代理人
争点(判決文より)
本件の争点は、権利侵害の明白性(公衆送信権侵害の成否)であり、この点 に関する当事者の主張は、以下のとおりである。 (原告の主張) 1 BitTorrentのクライアントソフトウェアがインストールされた 端末が、インターネットに接続されて他の利用者からファイルを受信している 間は、同時に公衆たる他の利用者からの求めに応じて自動的にファイルが送信 される。そのため、BitTorrentを利用して他の利用者からファイル を受信することで、必然的に自動公衆送信が生じることになる。 そもそもBitTorrentは、特定のファイルをピースに細分化し、こ れをBitTorrentネットワーク上の利用者間で相互に共有及び授受 することを通じ、分割された全てのファイル(ピース)をダウンロードし、完 全なファイルに復元して、当該ファイルを取得することを可能にする仕組みで ある。そして、本件調査会社は、μTorrentを介してBitTorre ntを利用して、本件発信者から本件ファイルを取得し、当該ファイルの動画 が本件動画と同一であることの確認を行っている。 そうすると、本件発信者が、BitTorrentを利用して本件動画のフ ァイルの一部(本件ファイル)を他のBitTorrentの利用者と送受信 することにより、BitTorrentの利用者である本件発信者による送信 可能化及び自動公衆送信が生じ、本件動画に係る公衆送信権(著作権法23条) の侵害が成立することは明白である。 2 被告は、本件発信者の送信によって送られた1つのピースからでは、本件動 画の表現の本質的特徴を直接感得することができる映像を再生できない可能 性がある旨主張するが、別紙発信者情報目録記載の日時において侵害した事実 が認められれば、その時点で具体的にどのピースが送信されたかの立証は不要 であるから、被告の主張は失当である。 (被告の主張) 本件発信者の送信により本件動画のファイルを構成するピースが送信され たとしても、これにより自動公衆送信権が侵害されたと認められるためには、 当該ピースにより、当該動画の表現の本質的特徴が感得できる必要がある。こ の点、ファイルを細分化したピースを転送し合うというBitTorrent の仕組みを踏まえると、本件発信者の送信によって送られた1つのピースから では、本件動画の表現の本質的特徴を直接感得することができる映像を再生で きない可能性が十分あるから、自動公衆送信権侵害を認めることはできない。
主文(判決文より)
1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。 2 訴訟費用は被告の負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。