事件の基本情報
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和3(ワ)12304 |
| 判決日 | 2023-08-30 |
| 分類 | 民事 / 著作 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 著作権法114条3項 |
| 当事者 | 被告 株式会社アーク出版 |
この事件の代理人
争点(判決文より)
争点 (1) 本件映像の著作物性(争点1) (2) 本件映像の著作者(争点2) (3) 本件映像の著作権者(争点3) (4) 本件映像の著作権の黙示の譲渡の有無(争点4) (5) 著作者名表示の省略の可否(争点5) (6) 故意又は過失の有無(争点6) (7) 損害の有無及びその額(争点7) 4 当事者の主張 (1) 争点1(本件映像の著作物性)について (原告の主張) ア 本件映像は著作物に当たること 本件映像は、原告がその全体について創意工夫を尽くして制作したもの であり、著作権法上保護される著作物に当たる。 イ 被告の主張について (ア) 被告は、本件映像について、①発作を起こすキャラクター、②キャラ クターのデザイン、背景等及び③ナレーションという三つの要素から構 成されており、それぞれの点において創作性を欠くと主張する。 しかし、アニメーションの制作には、撮影、編集及び音響も不可欠な 要素であり、かつ、これらが有機的に関連しているから、例えば、てん かん発作の動きといった一部の要素を切り取り、その創作性の有無のみ をもって、本件映像全体の創作性の有無を評価することはできない。 (イ) 被告は、各てんかんの発作には共通する特徴や動きが抽出され、抽出 された結果としての共通する特徴や動きという一つの表現に収斂するな どと主張して、本件映像の創作性を否定する。 しかし、キャラクターの動作に関し、映像上再現すべき医学的な動作 があるとしても、作成者はそれをどのように再現するかについて創意工 夫をするのであって、その結果完成したアニメーションは千差万別とな り、全体として視聴者にもたらす印象も異なるものとなる。 また、キャラクターのデザイン、背景等についても、本件映像におい ては、過剰な演出を敢えて排し、視聴者の目がてんかん発作の動きに意 識せずとも自然に集中するような効果をもたらすような創意工夫がされ ている。例えば、日本人の青年男性という属性のキャラクターを表現す る方法は無数にあるところ、その中から本件映像のような日本人の青年 男性を創作し選択する余地がある。 被告が指摘するとおり、原告が作成したナレーション原稿に対し、原 告以外の者によって様々な指摘がされ、それに基づく修正がされたのは 確かであるが、誰が作成しても似たような表現にしかならないのであれ ば、このような指摘や修正がされるはずがない。 (被告の主張) ア 本件映像は、てんかん発作の13症例に関する別個の独立した映像から 成るものであるが、全ての症例に係る映像の著作物性についての立証がさ れているとはいえない。 イ 本件映像は、①発作を起こすキャラクター、②キャラクターのデザイン、 背景等及び③ナレーションの三つの要素によって構成されているところ、 以下のとおり、いずれの要素についても創作性
主文(判決文より)
1 被告は、原告に対し、55万円及びこれに対する令和2年12月22日から 支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は、これを12分し、その11を原告の負担とし、その余を被告の 負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。