職務発明対価請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号令和4(ワ)13408
判決日2023-05-11
分類民事 / その他
判決種別判決
当事者被告 株式会社ダイセイコー

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点
(1) 対価請求権の放棄の効力(争点 1)
10 (2) 消滅時効の成否(争点 2)
(3) 相当の対価の額(争点 3)
4 争点に関する当事者の主張
(1) 争点 1(対価請求権の放棄の効力)について
(被告の主張)
ア 原告は、本件同意書において、「私は株式会社ダイセイコーが新型吹矢の
特許を取得するにあたって、発明者としての報酬やその他の権利は一切主
張しません。」として、職務発明の対価請求権を放棄した。
イ 職務発明の対価請求権に係る特許法の規定が強行法規であるとしても、
個々の職務発明について合意がされた場合は、対価請求権を放棄すること
20 ができるところ、本件同意書は、本件特許の登録からわずか 1 か月後の平
成 24 年 2 月 24 日に、本件各発明という個別の職務発明について原告が放
棄の意思表示をしたものである。
また、原告は、本件特許出願の 3 か月前である平成 23 年 6 月 1 日には
被告商品研究開発課課長に昇進し、被告における待遇に十分に満足したた
めに本件同意書を作成したとみられるのであって、意思を事実上抑圧され
た状態でこれを作成したものではない。
(原告の主張)
ア 使用者が従業員(発明者)から放棄書を取得すれば相当の対価の支払義
務を免れられるとしたのでは、特許法が法定の請求権として発明者に職務
発明対価請求権を規定した趣旨が没却される。このため、職務発明対価請
5 求権に関する法 35 条は強行法規であって、本件同意書は、これに反し無効
である。
特に、本件では、原告は本件特許の登録がされた直後に被告から本件同
意書に署名捺印を要求された。一従業員に過ぎない原告がこれを拒否でき
るはずもなく、原告の意思は事実上抑圧された状態にあった。このような
事情も踏まえると、本件同意書は無効である。
イ 原告は、課長昇進前に複数の商品の開発を完了していたところ、これら
の商品の売上は 33 期(2010 年 6 月~2011 年 5 月末)の 1 年間だけで約
2000 万円であり、課長に昇進するに足る十分な実績を挙げていた。このた
め、本件各発明と課長昇進とは無関係であり、原告の課長昇進・昇給はそ
れまでの成果に対する正当な評価に過ぎない。
(2) 争点 2(消滅時効の成否)について
(被告の主張)
ア 消滅時効の完成及び援用
職務発明に基づく相当の対価請求権の消滅時効の起算点は特許を受ける
権利の承継時であるところ、本件においては、遅くとも本件特許の出願日
である平成 23 年 9 月 13 日の時点で、被告は、原告から、本件各発明に係
る特許を受ける権利を承継していた。
したがって、仮に原告に職務発明の対価請求権が存在したとしても、原
告による訴訟提起日である令和 4 年 6 月 1 日時点で、その「権利を行使す

主文(判決文より)

1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。