発信者情報開示請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号令和4(ワ)13614
判決日2023-03-29
分類民事 / 著作
判決種別判決
判決文が挙げた条文プロバイダ責任制限法2条7号、著作権法2条1項1号、著作権法10条1項1号

この事件の代理人

  • 沼倉 悠(原告代理人)/千葉県弁護士会
  • 赤川圭(被告代理人)/第二東京弁護士会

争点(判決文より)

争点
(1) 本件投稿により原告の権利が侵害されたことが明らかであるか(争点1)
(2) 原告が本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由を有するか(争点2)
4 当事者の主張
(1) 争点1(本件投稿により原告の権利が侵害されたことが明らかであるか)
について
(原告の主張)
ア 本件解説は、本件会社が販売する複数の釣具の使い分け方や具体的な使
用方法を、原告自身の経験を基に口頭で説明したものである。一般的に、
釣具の用法や釣りの技法を解説するための言語表現には、これを聞く者の
理解度などにより様々な選択の幅がある。本件解説は、アマチュア向けの
ハウツー動画というコンセプトの下、原告が敢えて平易で具体的な言葉を
選んで説明しているものである。したがって、本件解説の内容は、言語と
いう表現手段を用いて原告の思想を表現したもので、かつ、その表現には
原告の個性が表れているものであるから、原告の「思想又は感情を創作的
に表現したものであつて」「文芸、学術」「の範囲に属するもの」(著作権法
2条1項1号)であり、「言語の著作物」(同法10条1項1号)に当たる。
氏名不詳者は、本件原動画の一部を抜き出して切り貼りすることによっ
て作成した本件投稿動画を本件サイトに投稿し、本件原動画の一部を有形
的に再製した。本件投稿動画は、本件原動画に依拠したもので、本件原動
画を構成している本件解説の内容とその形式を覚知させるに足りるもので
あるから、氏名不詳者が、本件投稿により、本件解説の内容に係る原告の
著作権(複製権)を侵害したことは明らかである。
イ 被告は、本件投稿動画の説明欄に本件会社が本件サイトに開設したチャ
ンネルが紹介されていることなどを指摘して、原告が、氏名不詳者に本件
原動画の複製を許諾したことがうかがわれると主張する。
しかし、本件サイトの動画説明欄は、動画投稿者が自由に文章を記載で
きるものであるから、動画投稿者は第三者の開設したチャンネルや投稿動
画をその者の承諾なく紹介することができる。そのため、本件投稿動画の
説明欄に本件会社の販売する釣具や原告及び本件会社の開設したチャンネ
ル等が紹介されていたとしても、原告が氏名不詳者に本件原動画の複製を
許諾していたことの裏付けといえない。
このほか、氏名不詳者が本件投稿をしたことに関し、違法性阻却事由に
該当する事実は存在しない。
ウ したがって、本件投稿によって本件解説の内容に係る原告の著作権(複
製権)が侵害されたことは明らかである。
(被告の主張)
ア 本件解説の内容は、釣具の用法や釣りの技術といった定型的なものにす
ぎず、原告の創作性が発揮されているとはいえないから、「思想又は感情を
創作的に表現した」「文芸、学術」等「の範囲に属するもの」に該当せず、
「著作物」(著作権法2条1項1号)といえない。

主文(判決文より)

1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。