損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号令和3(ワ)28914
判決日2023-09-27
分類民事 / 著作
判決種別判決
当事者被告 B同補助参加人株式会社

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点
本件小説は、本件映画と創作的な表現において共通し、本件映画の表現上の
本質的な特徴を直接感得することができるか(争点1)
被告による本件小説の執筆、出版が原告の人格的利益を侵害するか(争点2)
損害(争点3)
4 争点に対する当事者の主張
本件小説は、本件映画と創作的な表現において共通し、本件映画の表現上の
本質的な特徴を直接感得することができるか(争点1)
(原告の主張)
ア 本件小説には、別紙著作物対比表の「被告著作物」欄記載の記載があると
ころ、本件小説のこれらの部分では、同対比表の「原告著作物」欄記載のと
おりの本件映画の対応する場面の思想についての創作性ある具体的表現が
無断で利用され、それらの表現上の本質的な特徴が感得できる態様で記載さ
れている。
イ ドキュメンタリー映画においては取材者が取材対象者に働きかけること
などによって取材対象者の行動や心境・感情等をどう引き出し、どう映像と
してとらえるか、撮影をするか否かの選択、どのように編集して作品として
提示するかという点に作者の創作性が現れる。
本件映画を制作等するに当たり、原告は、取材を通じて記録した膨大な取
材ノートを作成し、編集に際しても大部のスクリプトを作成した。それぞれ
のインタビューについても、作品全体の中での位置付けや狙いがあり、質問
の順番、キーワードやエッセンスとなる文言などについて、一定の観点から
取捨選択を行っている。作品の中の1コマたりとも、作者の思想が表れてい
ないコマはない。
ドキュメンタリー映画は、単なる映像の記録ではなく、作り手の観点や立
ち位置に基づき特定の主題に関する事実の断片が調整されたもので、その意
味では「事実」についての作為が存在し、事実の断片が再構成され、新たな
意味付けが与えられたものであり、この作為は、取材対象者が存在する場合
には、取材対象者の発言内容に及ぶ。また、ドキュメンタリー映画で示され
ている取材対象者の発言の内容や感情は、作り手の作為の結果としての産物
であり、ドキュメンタリー映画の中で意図的に組み合わされた映像と音によ
って示された思想性は、それを分割して一部のみを切り取ることはできない。
映像と音によって構成された映像表現から、発言のみを切り取って思想性の
ないものとして独占し得るものではないとの主張は、ドキュメンタリー映画
の特性から妥当ではない。
別紙著作物対比表の「原告著作物」欄に記載されているいずれの表現も、
原告とCとの信頼関係等を基礎として、原告独自の視点、狙いに基づいて行
われたインタビューにおいてCやその妻が語った内容等であり、また、その
信頼関係を基礎としてしか表現され得なかった映像があり、これらの表現は、
原告が独自のストーリーを再構成する過程で、膨大な素材や長時間の映像の
中から、原告が取捨選択や編集

主文(判決文より)

1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。