不当利得返還請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号令和6(ワ)70281
判決日2025-10-16
分類知的財産 / 特許
判決種別判決
判決文が挙げた条文民法703条、特許法102条3項
当事者原告 株式会社サピエンス/原告 プラグインフリー・パテント・ホールディング株式会社/被告 LINEヤフー株式会社

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点4)について
本件事案に鑑み、争点4-2(サポート要件違反及び実施可能要件違反の有
無)につき、以下判断する。
(1) 特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許
請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に
記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説
明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識
できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が
出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲
のものであるか否かを検討して判断すべきである(知財高裁平成17年11
月11日大合議判決、知財高裁令和2年7月2日判決参照)。
(2) 前記1(2)によれば、本件各発明は、Webブラウザの表示領域より大き
い画像の分割画像を、サーバから優先的にダウンロードして表示する構成
(構成要件1A)を採用することにより、ダウンロードしてWebブラウザ
に表示するまでの待ち時間を少なくするとともに、画像全体に対して限定さ
れた範囲の分割画像を当てはめる複数の枠要素の配列をWebブラウザに
設け、枠要素を移動、削除及び追加することにより画像を相対移動させる構
成(構成要件1B及び1C)を採用し、画像を移動させるための演算を限ら
れた枠要素に限定し、画像全体を移動させる場合よりも演算量を減らすこと
により、画像の移動速度を速くすることを可能にするものであることが認め
られる。そうすると、Webブラウザが「ブロックの原点の移動すべき座標
と前記ブロックの原点に対する各枠要素の原点の座標とに基づき各枠要素
の原点の移動すべき座標をそれぞれ演算」する構成は、本件各発明の技術的
思想を特徴付ける課題解決手段の一つであると認めるのが相当である。
しかしながら、本件明細書等には、「各枠要素の原点の移動すべき座標を
演算する」構成に関し、「前記ブロックの原点に対する各枠要素の原点の座
標」という概念も、その数値も一切開示されていない。
そうすると、本件各発明は、上記にいう課題解決手段の具体的な構成が明
らかにされていないのであるから、当業者が当該発明の課題を解決できると
認識できる範囲のものであるといえず、また、その記載や示唆がなくとも当
業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる
範囲のものであるともいえない。
したがって、本件各発明は、サポート要件に違反するものであり、特許無
効審判により無効にされるべきものである。
これに対し、原告らは、本件明細書等の図10の記載によれば、上記にい
う「前記ブロックの原点に対する各枠要素の原点の座標」が開示されている
旨主張する。
しかしながら、上記図10の記載をみても、ここにいう演算は、「ブロ

主文(判決文より)

1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。